ハレー彗星

はハレー彗星(はれーすいせい)

ハレー彗星の豆知泉 †

• 76年周期で地球に大接近するハレー彗星。次回大接近は2062年　

• ハレー彗星を発見したのはハレーではない。彼の功績は過去の記録から彗星の軌道を計算し、再出現の予測を的中させたことである。

• その彗星にハレーと言う名前がついたのはハレーが観測した時ではなく、次の周回時にその軌道計算が正しかったので、ハレー彗星と呼ぶようになった。

• 作家のマーク・トウェインはハレー彗星の出現した年1835年に生まれた。その為なのか生前より「自分は次のハレー彗星が訪れる年に亡くなる」と言っていた。そして、その言葉通りにハレー彗星の出現した1910年に死去した。

• 1910年、ハレー彗星が地球に接近する時「彗星の尾が地球の大気に影響をして、空気が10分間無くなる」と言う噂が流れ、日本の人々は大騒動だった。

• タイヤのチューブがとんでもない高値でも飛ぶように売れたり。貧しくてタイヤを買えない人達は、桶に水を張って息を止める練習をしたり。

エドモンド・ハレー †

• ハレー彗星は76年（正確に言うと76〜79年の幅があるらしい）に一度、地球に大接近する天体として知られているが、17〜18世紀のイギリス人天文学者エドモンド・ハレー（1656年10月29日〜1742年01月14日）が過去に目撃された歴史資料などから周期説を打ち出し、その後立証されたためにその名前が付いたものです。
  
• 天文学では、彗星の一部が周期性を持つことが発見されており、そこでハレーは1682年(ハレーが26歳の時)に現れた大彗星が過去の文献や周期などから考えて1758年にも出現すると予測した（ハレーの死後、16年経った1758年12月に観測されて実証された）ほか、南半球の星のリストの作成、恒星の固有運動・月の長年加速などの発見をしました。
  
• ハレーは天文学専門の人ではなく、多様なジャンルに興味を示した人で、地球物理学の分野では貿易風や朝夕の研究、地磁気や磁極の研究なども行い、泉・温泉の研究などもあります。地学関係以外では、レンズ?や光学に関する研究もあります。
  

• さらに結果的には間違っていた仮説としては、地球が何層もの同心球で出来ていて現在人類が住んでいる地表よりも下の層にも別の地表があるかも知れない、という説を出しています。
  これは後にジュール・ベルヌなど多くのSFのネタ「地球空洞説」に使用されました。
  

• ハレー彗星の世界最古の出現記録は紀元前466年のものです。
  その後の文献などで76年ほどの周期で「巨大な流星」の記述が見られています。（紀元前239年・紀元前11年・66年・451年・684年・838年?・1066年?[・1222年?・1301年・1378年・1531年・1607年・1682年・1759年・1835年・1910年・1986年）

• 日本でのハレー彗星に関する最古の記述は838年11月12日のことで、この時人々は何か悪いことが起こる前の凶兆ではないかと噂をし、天皇も人々に「写経をして災いを回避せよ」と命をだしていたりします。
  その後の1218年1月8日の大接近の時も大騒ぎになったと言われています。
  いわゆる流れ星の事を「ホウキ星」と言うのは、このハレー彗星に付けられた別名からです。
  

1910年のハレー彗星 †

• 20世紀になって初の大接近は、日本時間では1910(明治43)年5月19日の未明のことです。
  この時は天文観測の技術が向上していたために、世界中の天文科学者は待ちわびていた大イベントとなりました。
  しかし、前もって接近すると言うことが判っているために、それに対して大げさなデマが流れだしたりもしました。
  いわゆる「地球と衝突する」「世界の終焉を暗示している」とかで、この手の騒ぎはヨーロッパのキリスト教国を中心に広まっていました。
  

• その騒ぎに対して日本の場合は、なんと新聞社までがその説を信じてかき立ててしまったのです。
  『大阪朝日新聞』などにも「彗星の尾に含まれた水素が地球の酸素と化合すれば、人類は窒息して死滅する」などと書いています。
  その為に、日本各地で長時間息を止めるための訓練がなされたり、新興宗教が立ち上がったり、さらに騒ぎを利用してニセ宗教を興し「全財産を寄付すれば･･･」などと言うものも多くありました。
  ハレー彗星が接近するに従い、人々の不安は高まり、岐阜県などでは自殺者まで出るようになりました。
  

• その問題の1910(明治43)年5月19日未明、多くの人が固唾をのんで夜空を見上げる中、地球から約40万キロほど離れた距離を通り、何事もなくイベントは終了しました。
  

1986年のハレー彗星 †

• 1986(昭和61)年4月11日の大接近の時は、すでに科学的に解明されていた事もありパニックにはなりませんでした（それでも悪質な新興宗教が世界の終焉を唱えて金儲けに走った事件はありました）。
  この時は、各国で観測探査機を打ち上げていて、その中でもヨーロッパの宇宙機関が打ち上げた探査機《ジオット》は、約600キロと言う距離まで近づき、その撮影に成功しました。
  

• その結果判明したのは、ハレー彗星の核は直径約16キロほど、幅約8キロほどの物で、地上から見ると白く見える部分は実際には表面が黒い地殻で覆われていて、白く連なっているホウキ部分も実は黒い塵のかたまりだったのです。
  それらが、太陽光線などを乱反射して白く見えていたのです。
  

• 次回のハレー彗星大接近は2062年です。それまでおたのしみに。
  

更新履歴 †

• 2000.00.00：知泉
• 2003.09.30：知泉