ジャック

し【ジャック】JACK

語源 †

• ありふれた名前と言うと日本では「太郎」「一郎」などが挙げられますが、現在はたぶんこの名前を探すのは大変になっているかも知れません。
  英語でありふれた名前と言うことでは「Jack：ジャック」が挙げられます。
  

• 実は由緒正しい名前で、最初は聖書に出てくる「Jacob：ヤコブ」で、そこから派生したフランスの名前「Jacques」が英語圏に入り誕生した名前です。
  名字があまり使用されなかった時代に「JACKの処の息子」と言う意味で「JACKSON」と言う名字も誕生しています。
  

男の代表 †

• 「Jack of all trades, and master of none.：多芸は無芸」
  ジャックは非常にありふれた名前なので、上記の諺でも一般的に人を表すのに用いられています。
  

• 「hijack：ハイジャック」もギャングが車を奪う時に脅し文句として「Hi, Jack, leave your car：やぁ、太郎、車置いてきな！」と言った言葉に由来すると言われています。今なら「Hey, Men !」などと言う言い方が多いみたいですが。
  

• 犯罪絡みでは19世紀のロンドンを震え上がらせた「切り裂きジャック：Jack the Liper」などでも、正体不明の犯人に対してジャックと言う名称を与えていました。
  

• 「帰ってきたウルトラマン」のことを最近は「ウルトラマンジャック」と呼んでいるのですが、実はこの名前「ウルトラマンタロウ」が企画された時に付けられていた名前が「ウルトラマンジャック」だったのです。
  しかし当時ハイジャックが社会問題になりつつあった時代だったので「子供向け番組のヒーローの名前にハイジャックを連想させる名称はまずい」と言う事で、急遽「ジャック＝タロウ」で名前が差し替えられたそうです。
  

• 手塚治虫の名作漫画ブラックジャックも、最初は数回の読み切りのつもりで主人公の名前を深く考えずにトランプゲームから取ったのだったのです。
  が、大好評で長期連載になる内に「主人公の本名は？」と言うことになり、「Jack＝男性の意味」と言うことから、切羽詰まって「黒男・くろお」と言う名前を考え出したのです。
  

ジャックの職業 †

• 一般的にジャックと言うとトランプのカードでも有名で、カードの順で「王様」「女王様」の次と言うことで「王子」と思われがちですが、実は「召使い」の意味でした。
  しかしジャックと言う単語は辞書によると「刑事」「水夫」「木材切出人」「召使い」と様々な職業を意味する事もあるらしいです。
  

• 競馬の騎手を意味する「jockey：ジョッキー」もジャックからの流れです。それの関連で「ＤＪ＝Disk Jockey」と言う職業名まで誕生しています。
  

ジャックが付いた物 †

• このジャックが元になったモノには、人名だけでなく生活用具も含まれています。
  

• 刃物師の名前から「jackknife：ジャックナイフ」も誕生しました。
  

• ジャックに「et」が付いた「jacket：ジャケット」も誕生しています。これがドイツに入って少し意味が変わり登山用語になった物に「Jacke：ヤッケ」があります。
  

• ヘッドフォンなどを差し込む穴を「jack：ジャック」と言うのはそのままですが、車を持ち上げる「ジャッキ」も「jack」の関連です。
  

• スロットマシンなどでたまった掛け金のことを「jackpot：ジャックポット」と言いますが、もともと意味は無かったジャックがこのジャッキ「＝持ち上げる」と言う連想が関係して出来た名前です。
  

• ジャックは「旗」と言う意味でも使われます。イギリスの国旗を「Union Jack：ユニオンジャック」、海賊船の旗「blackjack：ブラックジャック」などと言います。
  

• その関連でトランプゲームにブラックジャックと言う名前が付けられ、さらにそれが手塚治虫の漫画へと繋がって行くのです。
  

注 †

• 文献によってはジャックは「騎士」としている物もあり、それぞれのマークのジャックにはモデルがいるとしている。
  ・ダイヤ・トロイの勇士ヘクトール
  ・スペード・カール一世の騎士オジェ
  ・クラブ・円卓の騎士ランスロット
  ・ハート・ジャンヌダルクの味方の騎士ラハイル
  

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