ため口

た【ためぐち：ため口】

荒っぽい言葉遣い †

• 近年は会社の昇格＆給料体系の中から年功序列と言う概念が徐々に消えつつあるそうです。
  その為に、いきなり今まで部下だと思っていた後輩が上司になってしまう事もあります。
  しかし、それとは別に目上の者に対する言葉の使い方と言うのは、いつの時代でも必要な物だと思います。
  

• そんな事をハナっから解っていない、後輩があたかも学生時代の同級生のような口調で話しかけてきて「カチンッ」と来る人もいるのではないでしょうか？
  この様な、上下関係を無視した口調のことを《ため口：ためぐち》と言います。
  で、この《ため》とは一体どんな意味なのでしょうか？
  

• この元々の言葉は、江戸時代の大阪で誕生したものです。
  大阪と言えば今も昔も商人の街。
  この商人の街で、番頭が下っ端だった丁稚を簡単な使いに出す時にいくばくかのお小遣いを渡していたのです。
  このお小遣いの事は「お駄賃：おだちん」とも言いますが、大阪の商人の間では符丁のように《ため》と言っていたのです。
  

• そのためを渡すような目下の者に対する命令口調の言葉遣いの事を元々《ため口》と言っていたのです。
  そのあまり相手の事を気にせず命令口調で言う荒っぽいしゃべり方が徐々に、仲間同士の気を遣わない言葉遣いと言う意味に変化していったのです。
  

• その事を考えると、この《ため口》が元になって80年代初頭ぐらいから、同級生などを指す言葉として「俺とアイツってタメなんだよ」などと使われるようになりましたが、この時の《ため》は変な言葉と言うことにもなってしまいます。
  

2001.07.16