不幸の手紙

ふ【ふこう-の-てがみ：不幸の手紙】

不安につけこんだ手紙 †

• 最近では手紙ではなく、eメールで行われる事も多いのですが、いわゆる「一週間以内にこれと同様の文章を5名に送らないと、あなたの身に不幸が訪れる」という、実に迷惑な物があります。(日数・人数は各種のバリエーションがあります)
  

• 日本では60年代に始まり、それから数年ごとに局地的なブームを繰り返していたのですが、80年代中期にはかなり下火になったと言われていました。
  が、最近はeメールの普及で［電子版不幸の手紙］が復活したり、いわゆるチェーンメールと呼ばれる物が登場してきました。
  

• この《不幸の手紙》のルーツとも言える物は、1935年3月にアメリカ・コロラド?州デンバーで始まったとされています。
  
• その3月のある日、デンバーの何軒かの家庭に不思議な手紙が届けられたのです。
  
• 『以下に記されている5名に10セントづつ送付しなさい。その後、5名の最初の名前を消し、5番目の所に自分の名前と住所を書き入れた同じ文面を作り5名に郵送しなさい。そうしないと、あなたの身に不幸が訪れます。』
  

• 時代はちょうど、ヨーロッパではヒトラーが率いるナチスドイツがベルサイユ条約の《軍縮条項》を破棄して再軍備宣言をしたばかりで「世界的な戦争が始まりそうな予感」に人々は不安な気持ちを抱いている時でした。
  
• そんな不安な気持ちにつけ込んだような手紙に、デンバーの人々は慌てて文面に従って、10セントを5人に送り、同じ文面を5名に郵送したのです。
  そのため、一時期はデンバー郵便局には1日に10万通の不幸の手紙が届けられるようになり、慌てた郵便局は臨時バイト職員を100名も雇わなければ整理しきれない状態になったと言われています。
  
• それから、お金を送付しないパターンも登場したり、実際に不幸になった人のエピソードが付け加えられたりして、今に至っています。
  

• かのジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後に登場した不幸の手紙には「あれは不幸の手紙を信じなかったために起こった悲劇だ」と書かれた物もあったと言われています。
  

• ちなみに《1週間以内に5名に》と言う文面を信じた人が、律儀に5名に手紙を郵送したとして、その後まったく重複することなく不幸の手紙が1週間ごとに5名づつに送られ続けると4ヶ月後には地球の全人類に不幸の手紙が届けられる計算になります。
  

更新履歴 †

• 2001.00.00