棚卸し

た【たなおろし：棚卸し】
た【たなあげ：棚上げ】

• 商い.店

棚下ろし †

• 一般的に棚卸しと言うのは、商店などで月末に行われ、今月どれだけ売れて、どれだけ売れ残って・・・という集計をし、その結果安売りに回す物や、追加注文するものなどを決定するもので、けっこう大変な作業です。
  
• この言葉は実に古く、室町時代に商業と言うものが確立されていった頃から存在しているものです。

• その頃の商店（商家）は《見世棚：みせだな》と呼ばれるものでしたが、これは商品を棚に並べて見せていたからですが、「見世」は現在「店」に変わっていますが現在も『仲見世通り』や『店子：たなこ』などにその言葉は残されています。
  
• この棚に並べた商品をお盆や年末などに棚から下ろして帳簿と見比べて確認したことから「棚下ろし」と呼ばれていました。

• それが現在も使われているのですが、この言葉にはもう一つ『人の欠点を一つ一つ数えて指摘する』と言う意味も含まれています。
  
• それは「下ろす」と言う言葉には「悪く言う」と言う意味が元々あったので、本来の棚下ろしのように、商品ならぬ相手の行動を1つ1つ念入りに挙げて、その評価を悪い物にすると言う意味にも使われるようになったのです。

棚上げ †

• これの逆に『棚上げ』と言う言葉もあります。
  
• これは現在は、解決が難しい問題などを一時保留にしておく事。あるいは元々解決するつもりも無いクセに、議題として取り上げて結局保留と言う形で対処しない様な状態を指します。

• 実はこの『棚上げ』も室町時代に『棚下ろし』と同時期に生まれた言葉です。
  
• もっともオリジナルは商売に直結していて、需要と供給のバランスをとるために一時期商品を棚の上に隠しておいて市場に出さないようにしておいた事を言います。

更新履歴 †

• 2001.01.09