坂崎出羽守

人名さ【さかざきでわのかみ：坂崎出羽守】

大坂夏の陣・家康の孫娘を救出した坂崎出羽守 †

• 徳川家康の孫娘・千姫は政略結婚で豊臣秀吉の息子の秀頼の元に嫁いでいた。
  が、秀吉が亡くなった後、家康が国盗りを始め、その結果、秀頼達を大阪城に追い込み最終決戦をすることになった。これが俗に言う『大坂夏の陣』です。（1615年05月07日）

• しかし、家康も自分の孫娘がかわいい為に炎上する大阪城を見上げ「千姫を救出した物には、石高を1万石増やし、さらに千姫を嫁に取らせる」と公言したのです。
  
• そこでこの言葉を信じ燃えさかる大阪城に飛び込んだのは《坂崎出羽守：さかざきでわのかみ》で見事に千姫救出に成功するのです。
  

• しかし、その約束は守られることは無かった。その理由は、坂崎の顔が醜く千姫が嫌がったとも、坂崎の家格が低すぎて嫁に出すのを家康が渋ったとも伝えられている。
  そして結局、千姫は家柄もよく美男子と誉れの高い《本多忠刻：ほんだただとき》と再婚することになったのです。
  

• しかし、諦めがつかない坂崎は千姫の嫁入り行列を襲い略奪しようとするのですが、それに失敗し、結局坂崎出羽守は自害し、坂崎家は断絶となってしまったと言う、現代的に言ったら裏切られたすえのストーカー行為という悲劇が伝えられています。
  

ストーカー扱いをされた坂崎出羽守の無罪 †

• が、実際には坂崎出羽守は炎上する大阪城には飛び込んでいなかったのです。
  

• と言うのも、千姫が大阪城から救出されたのは炎上する前日、1615(慶長20)年5月7日だと言うのが記録に残されており、連れ出したのも豊臣側の堀内氏久だったのです。
  とりあえず、救出された後、堀内氏久が坂崎出羽守に「家康の元に護衛してくれ」と頼み、それに従ったと言う記録はあります。
  

• 当然炎上の前日の話なので家康が「千姫を救出した物には、石高を1万石増やし、さらに千姫を嫁に取らせる」などと言ったと言うことも無かったのです。
  

• その後、家康の元に無事千姫を届けた坂崎出羽守ですが、家康が「千姫の再婚相手として公家が相応しいと思うので、どなたか適当な人物はいないか？」と坂崎に依頼していたとされています。
  その為に、坂崎は自分のもつコネクションを最大限に駆使し、やっと高貴な公家との縁談をまとめ掛けていたのです。
  しかし、家康はそれを無視する形で勝手に本多家への嫁入りを決めてしまったので、坂崎は面目丸つぶれとなってしまったのです。
  

• その為に、先の花嫁行列を襲い略奪…と言う話に繋がっていくのです。
  坂崎出羽守が不細工だったかは判らないのですが、本来は忠義に厚く、曲がったことの嫌いだった人物が、何故か不細工なストーカーと言うとんでもない汚名を着せられてしまったのです。