にんにく のバックアップ(No.3)
に:大蒜(にんにく)
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分類 †
学 名:ALLIUM SATIVUM L.
分 類:ユリ科ネギ属/多年草
別 名:オオニンニク・オオビル・ヒル
外国名:英語:GARLIC
仏語:AIL
歴史 †
- 中国へは、漢の時代に入った。
- 日本の最古の文献では720年に書かれた「日本書紀」(養老4年)に記載がある。
その頃は「ヒル」とか「オオヒル」などと呼ばれていた。
その後に書かれた「倭名類取抄」の中には『仁牟仁久:ニンニク』と言う表記が残されている。
語源 †
- 仏教用語で「忍辱/にんにく」と言うのは、侮辱や苦しみを耐え忍ぶという意味。
仏教では僧侶がニンニクを食べることは禁じられていたが、中には一度味を知ってしまった者がいて隠れて食べる事もあった。
その忍んで隠れて食べるという事を「忍辱/にんにく」にひっかけて、ニンニクと呼ぶようになったと言われる。
しかしニンニクは隠れて食べてもすぐ解ってしまうような気がするが。
ニンニク好き・周囲の困惑 †
- 16世紀フランス国王アンリ4世は、精が付くというのでニンニクを毎日大量に食べていたので有名だったが、周りの人々は国王に対して「クサイ」とも言えずに癖癖した。
特に夜の相手をする女性達は香水を大量に使用したと言う。
パワーがつくけど、臭いもつく †
- ニンニクは夏ばてをした体や、風邪?をひいた体などにパワーを与えてくれる実に頼もしい食べ物です。
しかし、そのパワーはニオイ?にまで発揮されて、翌日は誰からも「昨日ニンニク食べた?」と聞かれてしまったりします。
- このニンニクのニオイの正体は、「硫化アリル」と言う成分が大量に含まれている事にあります。やっかいな事に、この硫化アリルと言う成分が殺菌効果や風邪のウイルスを退治してくれる効力の源になっているのです。
ニンニクの臭い消しと言うのは昔から色々考えられているのですが、中華料理などでは「食事中にジャスミン茶?を飲むと臭いを消すことが出来る」などと言われています。しかし、これはジャスミン茶を飲むことによってその場だけジャスミン茶の香りでニンニクの臭いを消すだけのことだったりします。
- 根本的な硫化アリルの臭いを消すのは難しいのですが、活動を押さえ込むと言うことは出来ます。その押さえ込む役割を果たすのがタンパク質で、硫化アリルに含まれている「スルフドリル基」と言う活性成分とタンパク質が結合して臭い成分の活動が押さえ込まれるようになるのです。
よく言われるのが「ニンニク料理には牛乳?を飲むとよい」と言う物ですが、それ以外には卵・チーズなどでも効果があります。それ以外ではミカン?・レモンなどの柑橘類や梅干しなどでも効果があるのですが、基本的に植物性より動物性タンパク質のほうが効力があります。
ニンニクを過信しないこと †
- 「ニンニク=強精剤」と言うイメージはかなり高い。
これは古くから言われていることで、中国では万里の長城?を築城している際に重労働に耐えるために労働者たちはニンニクを競って食べたという記録もある。
- たしかにニンニクにはパワーをみなぎらせる作用がある事は確かなのだが、このニンニクを常食とすると危険な落とし穴が待っているのです。
精力を付けるどころか、貧血になって体力減退と言う逆作用を引き起こしてしまうこともあるのです。
- ニンニクにはアリシンと言う成分が多量に含まれていて、この成分が赤血球の中からヘモグロビンを追い出してしまう為に貧血?をおこさせてしまうのです。
つまり、ニンニクを食べると体の中のパワーを引き出す事が出来るのですが、ニンニクを常食すると、体が持っていたパワーを常に絞り出す様になって基礎体力が落ちてしまうのです。
ことわざ †
- 【ニンニクのニオイは玉ねぎのニオイを消す】
「The smell of garlic takes away the smell of onion」
イギリスのことわざで、これは日本語の「毒を以て、毒を制す」みたいな意味。
イギリスの家庭では、ニオイのきついニンニクはほとんど使われていないと言う。
玉ねぎなども日本人の感覚からすると、そんなにきついニオイの食べ物と言うイメージはないが、イギリス人には生の玉ねぎは嫌われている。
- 【ニンニク(西洋ネギ)の臭いは、こやしの山の悪臭を消す】
「The smell of garlic(leeks) takes away the stink of dungkills」
イギリスの同じ様なことわざで「ニンニク(西洋ネギ)の臭いは、こやしの山の悪臭を消す」と言う物がある。
ここまで来ると「こやしの山」の放つ悪臭より、ニンニクのニオイの方がきついかぁ?といくらかニンニクに対して同情をしてしまう。
- 「リーキ/LEEK」とは「ニラネギ」「西洋ネギ」と言われる野菜で、特有の臭いを持っている。
日本のネギより太く甘味がある。
悪口として、リークの事を「貧乏人のアスパラガス/aspargus of the poor」と呼んだりする事もある。
- またリークには慣用句として「eat the leek」屈辱を忍ぶと言う意味がある。
これは偶然なのだろうが、日本語の「ニンニク」の語源になった仏教用語と関連がある様な慣用句です。
ちなみに、ニンニクの「garlic」の語源は「gar/槍」+「leek」です。
- 【乳鉢(すり鉢)はいつもニンニクの臭いがする】
「The mortar smell always of the garlic」 - ニンニクをすりつぶすのに使ってしまったすり鉢はいくら綺麗に洗っても、その臭いが消えることはない。
と言う事で「遺伝や悪習はいつまで経っても痕跡を残す」と言う事です。
健康【ビタミンB1】 †
- ニンニクには、糖質とビタミンB群が豊富に含まれている。
特にニンニクに含まれているビタミン1は「B1分解酵素(アノイリナーゼ)」に分解されにくいと言う性質を持っているために、ビタミンB1の作用が強く発揮される。
このニンニクに含まれたビタミンB1は、ニンニクの効力として良く知られた疲労回復・精力増進だけでなく、脚気?(脳症を含む)・神経痛・整腸・便秘などにも絶大な効果がある。
健康【強壮剤】~ †
- ニンニクと麦芽糖を混ぜ、弱火でゆっくり煮込んだ物を、毎日少しづつ舐める習慣をつければ、風邪?はひかず、暑気あたりもないと言われている。
ニンニクは結核やゼンソク?によい。さらにビタミンB1不足の脚気から来る、むくみを取る効果もある。
健康【貧血・高血圧】~ †
- ミネラルが多く含まれている為に、貧血などにも効力を発揮する。
さらにカリウムとナトリウムの比率が「720/26」で、高血圧の予防にも非常によい。
健康【血液】~ †
- ニンニクをはじめとして、ネギ属の食べ物(玉ねぎ・ニラ)には血液凝固を防ぎ、血栓を予防する化学物質が含まれている
健康【動脈硬化】~ †
- 熱を通したニンニクには「アホエン」と言う物質が生まれるが、これは動脈硬化に非常に効力を発揮する。
ちなみに「アホ」と言うのは、スペイン語で「ニンニク」のことを言う
健康【ガン抑制元素】~ †
- ガン抑制に効力を発揮するセレンと言う物質が多く含まれている。
イタリアや中国でも、ニンニクや玉ねぎを多食する人には胃ガンが少ないと言われている。
これは硫黄化合物のアリシン(強烈なニオイの原因)や、セレン・テンペルと言う物質がガン予防(皮膚ガン・大腸ガン・肝臓ガン・肺ガン)に有効な物質が含まれているためだと言われている。
健康【食中毒の予防・殺菌効果】~ †
- ニンニクの中に含まれている硫化アリルには強い殺菌作用がある。
その為に昔から食中毒の予防や、寄生虫?(回虫・蟯虫)の駆除に用いられてきた ニンニクをすり下ろした汁は、水虫やタムシ?などの皮膚病にも効果がある。
健康【寄生虫予防】~ †
- ニンニクを肉料理・魚料理に使用するのは味を引き締めると言う効果もあるが、それより大切なのは寄生虫を予防するという効果。
特に生に近い状態で食する「カツオのたたき」「アジのたたき」などで効果を発揮する。
最近の研究で胃ガンの原因ではないか?と言われているピロリ菌を殺す作用もある。
記載記録 †
- 1999.00.00:知泉
- 2000.07.26(ニオイ)知泉