桃源郷

と【とうげんきょう：桃源郷】

1. 桃の節句

桃は咲いていない？ †

• いわゆる、現在わたし達が住んでいる世界とはまったく別の俗世間から離れた理想郷の事を『桃源郷：とうげんきょう』と言います。
  この言葉は、晋の時代の詩人《陶潜：とうせん》が著した『桃花源記』から来たものです。
  

• 晋の太元元年、武陵（ぶりょう）に住んでいた漁夫が魚を求めて川の上流に向かっていくと、川の両岸に桃・ももの花が咲き乱れる場所があった。その桃林をさらに遡っていくと、川の源流にたどり着き、そこの山腹に洞穴があったのです。
  

• 漁夫はおそるおそるその穴に入ってみると、なんと穴の中に村里があったのです。
  その村は道は整備され、立派な家が建ち並び、よく肥えた田畑、美しい池があり、住民の服装もキレイでみな楽しそうに笑っていた。
  話を聞いてみると「泰の時代に起こった戦乱を避けてこの山中に住み着き、それ以来一切外界との接触を断ち生活をしている」と言う。
  

• 彼らは、その後の漢・魏・晋の時代も戦乱も知らず、争うと言うことを知らずにいた。
  数日間のもてなしを受けた漁夫は帰り際に「私たちの事は内緒にしておいて下さい」と言われたのだが、里に帰った漁夫はこの話を大勢の人にしてしまったのです。
  しかし、帰りに道に目印を付けておいたと言う漁夫の案内で政府の役人達がその山に出かけたのですが、結局二度とその村へたどり着く事は出来なくなってしまったのです。
  

• つまり「桃源郷」と言う言葉を聞いて、桃がたくさんある村を想像するのですが、桃は村への道に咲いているだけで村の中にはないのです。
  しかし、中国では古くから桃は不老不死の果実と言われて居たために、そのようなイメージが出来たのだと思われます。
  さらに中国には神話や民話の中に「道に迷って仙人にあう」と言う類の話が多いので、それらのイメージを陶潜が総合して描いたものだと考えられるのです。
  

桃に関する項目 †

• 桃太郎.桃の節句

更新履歴 †

• 2000.11.01