生類憐れみの令

し【しょうるいあわれみのれい：生類憐れみの令】：徳川綱吉

江戸最大の悪法令 †

• 最近は動物愛護協会などが常に目を光らせている為に、ちょっとでも動物虐待にあたるのでは？と言う行為が発覚した場合には大騒ぎになります。
  しかし、そんな状態とは比べようがないほど、江戸時代に五代将軍・徳川綱吉が発令した《生類憐れみの令》はとんでもない物でした。
  

• その中でも犬は異常なほどに愛護されていました。
  たとえば犬を飼っている家庭でケガでもさせようものならば、大罪が課せられてしまったりするのです。
  

• その為に、それまで犬を飼っていた家も怖ろしくなってしまい、犬をこっそり捨てるようになり、その結果として江戸中に野良犬が大発生することになってしまったのです。
  そこで幕府は、1694(元禄6)年?に野良犬を収容するため、諸大名に命じて四谷や内藤新宿(現在の新宿)など、あちこちに巨大な犬小屋(犬収容施設)を作らせることにしたのです。
  その総工費は20万両にもなったと言われています。
  

• その犬小屋では、人間一人が充分生活できるほどの金額がそれぞれのお犬様養育費として渡されていたそうで、江戸全体で10万頭以上のお犬様が生活をしていたそうです。
  それでも収容仕切れなかった犬は『御犬御用』として任命された農民達に預けられたのです。
  

生類憐れみの令・その後 †

• この江戸最大の悪法令と呼ばれる『生類憐れみの令』は綱吉が亡くなった、1709(宝永6)年?にあっさりと廃止になりました。
  犬小屋も取り壊されたのですが、そこに収容されていた犬たちは、不満をずっと抱えていた江戸庶民達に、棒で追い回され、石をぶつけられて憂さ晴らしのターゲットにされたそうです。
  その中では、農民達が預かっていた犬などはそのまま飼い犬として幸せな生活を続けたとも言われています。
  

• 犬以上に、この法令が廃止になった後で苦しんだのは犬の飼育係をしていた人々で、幕府より「これまで犬の飼育係として支払われた養育費を返すように」と命令されてしまったのです。
  と言っても、その養育費は飼育係が着服したわけでなく、豪勢な犬の餌などに消えてしまったワケですから返しようが無く、いきなり膨大な借金を背負うことになってしまったのです。
  

• 中野区歴史民族博物館にはこの当時の文献として、48年掛かってやっと総ての借金を返済したと言う証文が残されていたりします。
  

更新履歴 †

• 2001.07.04